
爆サイは匿名で投稿できるインターネット掲示板の一つで、様々なジャンルについての投稿ができたり、閲覧ができたりするサイトです。
爆サイの大きな特徴は地域密着型という点で、関東版、関西版、四国版など、地域ごとに掲示板が分けられていて、その地域の人やお店などについての投稿がよく見受けられます。
匿名で投稿できるということもあってこのようなネット掲示板には誹謗中傷やプライバシー侵害などさまざまな犯罪行為が横行していますので、もし自分が被害者になってしまった場合はできるだけ早く対処していかなければなりません。
爆サイはローカル色が強いネット掲示板である分、そこに住んでいる人が見れば、たとえイニシャルなどで隠していても、どこの誰のことが書かれているのか簡単に予測できてしまうこともあり、誹謗中傷を放置してしまうと、周囲に根も葉もない評判が出回ってしまったり、職場や学校での生活に支障が出たり、お店の評判が落ちてしまったりなどの被害が出てしまう可能性があります。
今回は、爆サイで誹謗中傷などの嫌がらせを受けた際に損害賠償請求することができるのか、いくらくらいの賠償金を請求できるのか、損害賠償請求するためにはどのような手順が必要なのか、など詳しくお伝えしていきます。
Contents
爆サイにおける誹謗中傷への損害賠償請求はいくらが相場?
爆サイに誹謗中傷を書き込まれたことで、職場で居づらくなってしまったり、人間関係に亀裂が入ってしまったり、お店の評判が落ちてしまったりした場合、その損害を犯人に対して責任追及したいと考える方は多いかと思います。
では、実際に誹謗中傷に対する損害賠償請求する際、いくらくらい請求することができるのでしょう。損害賠償請求するためには何が必要なのでしょうか。
犯人に請求できる賠償金の相場金額
爆サイに誹謗中傷の書き込みをされた場合に犯人に対して請求できる賠償金は被害内容によって変動しますが、おおよその金額の相場は以下の通りです。
✓個人に対する名誉毀損の場合:10〜50万円
✓法人に対する名誉毀損の場合:50〜100万円
✓侮辱の場合:1〜10万円
✓プライバシー侵害の場合:10〜50万円
また、犯人特定のためにかかった費用も、損害賠償の一部として請求することが可能です。
ただいくらの請求が認められるか、どこまで請求できるかについては裁判官の判断によって変わるため、必ずしも上記の金額を全額請求できるとは限りませんので、あくまでも目安と考えておいてください。
なお、爆サイを含むインターネット上の誹謗中傷に対する損害賠償請求の金額がどのように決まるのかについては後の章で詳しく解説していきます。
損害賠償請求するために必要なこと
損害賠償請求するためには、まず何よりも犯人が誰なのかを特定しておかなければなりません。そして、具体的にどのような被害を受けたのか、それは爆サイに書き込まれた誹謗中傷が原因だったのかについても証明していく必要があります。
爆サイなどのインターネット掲示板は匿名で投稿することができるため、パッと投稿内容を見ただけでは誰が書き込んだのかすぐに特定することはできません。仮に「●●が書き込んだんだな」と内容から察することができたとしても、その人が書き込んだという証拠がなければ損害賠償請求することはできません。
損害賠償請求を始め、犯人に対して法的責任を追及するためには、書き込んだのがどこの誰なのかを特定していく必要があるのです。なお、犯人の特定に関しては後の章でお伝えしていきます。
爆サイなどネットの誹謗中傷に対する損害賠償金額はどうやって決まるの?
先ほどの章で、誹謗中傷の書き込みをした犯人に請求できる賠償金の金額相場について見ていきましたが、その金額はケースや状況によって大きな幅が出てきます。
どのような場合に請求できる賠償金額が上がるのでしょうか。賠償金額はどのようにして決められるのでしょうか。
例えば車を壊された事例であればその車の価値や修理費用などから受けた被害金額を算出しやすいのですが、爆サイで誹謗中傷を受けたことに対して損害賠償請求をするケースでは、主に精神的苦痛に対して支払われるという性質があるため、損害額を算定するのは困難で、だからこそ請求できる賠償金額に差が出てしまうのです。
民事訴訟法では「損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。」と定められています。
参照サイト:平成八年法律第百九号 民事訴訟法
爆サイにおける誹謗中傷被害の損害賠償請求は民事訴訟法においての「立証することが極めて困難」な事例にあたります。そのため、請求が認められる損害賠償金額は、裁判所の裁量によって判断されるのです。
具体的には、
・誹謗中傷の内容が悪質か
・その投稿がどの程度影響を与えたのか
・どういった範囲に影響をおよぼすか
などの内容が考慮されて、金額が決定されています。
誹謗中傷を書き込んだ犯人特定に必要な開示請求の流れとポイント
誹謗中傷を書き込んだ犯人に対して損害賠償請求するためには、犯人を特定し、その証拠を確保していくことが必須であることはすでにお伝えしました。
では、具体的にどのようにして匿名で書き込んだ犯人を特定することができるのでしょう。
ここでは、匿名で投稿した犯人を特定する上で必要な「発信者情報開示請求」についてその流れやポイントをご紹介していきます。
爆サイに発信者情報開示請求を行う
爆サイに匿名で書き込んだ犯人を特定するためには、爆サイの運営者に犯人のIPアドレスを開示してもらい、そのIPアドレスからプロバイダを特定し、そのプロバイダ事業者に対してIPアドレス所持者の氏名や住所などの契約者情報の開示を求めるという二段階の手続きが必要となります。
そのため、まずはネット掲示板の運営者に対して誹謗中傷の投稿を行った人物のIPアドレスの開示を求めるところから始めていきます。
爆サイをはじめとしたインターネット掲示板の運営者は、書き込みを行った人物の氏名などは把握できておらず、発信者に関する情報としてはIPアドレスとタイムスタンプしかありませんので、二段階での情報開示請求が必要なのです。
なお、爆サイは権利侵害行為があれば比較的IPアドレスの開示に応じる可能性が高いと言われていますが、もしも情報開示に応じなかった場合は、裁判所の命令を得て強制的に開示してもらう必要が出てきます。
その場合、手続きが複雑になりますし、法律に関する知識がなければかなりハードルが高くなりますので、ネットトラブルに強い弁護士に相談しながら進めたほうがスムーズでしょう。
IPアドレスから犯人が使ったプロバイダを特定する
爆サイ運営元からIPアドレスの開示を得られたら、そのIPアドレスをもとに犯人が使ったプロバイダを特定していきます。プロバイダは、具体例で言えばドコモやソフトバンク、NTTコミュニケーションなどが挙げられます。
IPアドレスから、こちらの【IP SEARCH】のようなサイトを使えばどのプロバイダを利用して投稿したかということが分かります。
プロバイダに情報開示請求とログの保存を申請する
IPアドレスをもとにプロバイダが特定できたら、そのプロバイダに対して、誹謗中傷の投稿を行ったIPアドレスの発信者の氏名や住所などの個人情報の開示を求めていきます。
爆サイ運営元と違い、プロバイダは個人情報を開示しなくてはいけなくなりますので、基本的には任意での発信者情報の開示に応じることはほぼありません。そのため、最終的には裁判所を通して手続きを行うことになります。
裁判所を通すことになりますし、プロバイダが争ってくる可能性もありますので、アクセスログ(IPアドレスの保有者がサイトにアクセスした記録)の保存も同時に申請しておいてください。
一般的にプロバイダのアクセスログの保存期間は3か月程度なので、ログが消えてしまう前にできるだけ早く対応を取ることが重要です。
なお、プロバイダが情報開示請求に応じてくれるよう、投稿内容がいかにして被害者を特定できるようなものであるのかについてや、投稿内容が名誉毀損などの権利侵害であることを証明できるような証拠を集めておくことも重要です。
プロバイダから犯人の個人情報を開示してもらう
裁判所がプロバイダに対して発信者情報開示命令を出すと、IPアドレスをもとに爆サイに投稿した人物の氏名や住所、メールアドレスなど、個人情報の開示を受けることができます。
ここまでの手続きを行うことでようやく誹謗中傷の書き込みをしたのがどこの誰であるか特定できるようになります。投稿者が誰なのかを特定できれば、そこから損害賠償請求をしたり、謝罪を求めたり、などの対処をすることが可能になります。
誹謗中傷を書き込んだ犯人に損害賠償請求したいときはどこに相談すればいい?
誹謗中傷の書き込みをされ、被害を受けた場合、犯人に対して損害賠償請求をしたいと考える人は多いと思いますが、まずはどこに相談するのが良いのでしょうか。
警察は事件性がなければ動いてくれない
「犯人を訴える」という言葉のイメージから、警察に相談するのがいいのではと考える方も多いかと思いますが、警察は事件性がなければ動いてくれません。
例えば、爆サイに書き込まれた内容が名誉毀損罪や脅迫罪、業務妨害罪などの犯罪行為に該当していたり、被害者の身に危険が及ぶ恐れがあると判断できたりする場合は、警察でも対応してくれる可能性がありますが、書き込みの内容が単なる悪口に過ぎない場合やプライバシー侵害など刑事ではなく民事事件の範囲であれば警察は動いてくれません。
警察は凶悪事件などの悪質性の高い事件に人員を動員せざるを得ないため、誹謗中傷のトラブル解決を警察へ期待するのは難しいのが現状です。
弁護士に依頼すれば裁判手続きも任せられる
損害賠償請求をするなど法的措置を取る場合は、弁護士に相談するのが良いでしょう。
弁護士に相談すれば、損害賠償請求や発信者情報開示請求における裁判手続きもすべて任せることができます。
なお、弁護士費用がいくらかかるのか心配な方も多いと思います。一般的な民事事件においては、勝訴や敗訴にかかわらず弁護士費用は自己負担が原則となっていますので、損害賠償請求の裁判を行い賠償金が受け取れる場合でも受け取った賠償額から弁護士費用を差し引いた金額が実際に手元に残る金額となります。
弁護士費用は、着手金といって依頼する際に必ずかかるお金と、報酬金といって賠償金を無事に受け取れた場合にかかるお金の主に2種類があります。
法律事務所によっても金額は様々ですが、相場としては以下のような金額となっています。
・契約者情報の開示請求の着手金:20万円~30万円程度
・契約者情報の開示請求の報酬金:15万円~25万円程度
・損害賠償請求裁判の着手金:20万円~30万円程度
・損害賠償請求裁判の報酬金:賠償金の16%
犯人特定にはネットトラブル調査に強い探偵もお勧め
誹謗中傷をしてきた犯人に対して損害賠償請求をするためには、犯人を特定することが必須であるとお伝えしましたが、犯人特定においてはネットトラブル調査に強い探偵に相談することもかなり有効でお勧めです。
書き込みをした犯人を特定する方法として、発信者情報開示請求という手続きをすることももちろん有効ですし、特定が可能ですが、探偵に相談すればそれ以外の方法でも調査してくれます。
たとえば、爆サイなどのネットに誹謗中傷を書き込む犯人はTwitterなどのSNSで誹謗中傷をしている常習犯である可能性が高いですし、被害者の方とSNS上でつながっていることも多いです。探偵は調査のプロですから、ありとあらゆる関係を辿りながら犯人を特定し、アクションを起こすことが可能なのです。
また、裁判になったときに損害賠償請求を認めてもらえるよう、権利侵害を主張するときのための被害の証拠を集める上でも探偵による調査は頼りになるのです。
まとめ
爆サイに誹謗中傷の書き込みがなされたとき、その投稿を削除して対処しようと考える方が多いかと思いますが、爆サイに書き込む加害者は粘着質なタイプであることが多く、削除しても削除しても繰り返し誹謗中傷を書き込むケースが多いです。
そのため、もし粘着質な嫌がらせを受けてしまった場合は、犯人を特定して損害賠償請求などの法的措置を取ることも視野に入れる必要があります。犯人を特定するためにはアクセスログが保存されている期間で行うことがベストなため、被害を受けたらできるだけ早く対処し始めるようにしてください。