SNSきっかけの消費者トラブルが全年代で急増|トラブル事例と対応策

スマホが普及してからしばらく経ち、若者だけでなく中高年の年代の方々もSNSやネットショッピングを利用する機会が増えてきていますよね。特に、コロナであまり外出ができなくなっている現代ではSNSは気晴らしや暇つぶしに持って来いと言えます。

 

また、ゴールデンウィークや年末年始などの連休中もSNSを見ることに時間を使うことが増えてくるでしょう。

 

そんな中気をつけなければならないのがSNSをきっかけとした消費者トラブルです。SNS関連のトラブルは10代の若い人たちが気を付けるべきものというイメージをお持ちの方も多いのですが、実は50歳以上の中高年の方々からのSNSトラブルの相談件数がここ数年で一気に増えているのです。

 

これまでは中高「生」が気をつけなければならないと思っていたSNS関連の消費者トラブルですが、これからは中高「年」も気をつけなければならなくなっています。

 

今回の記事では、SNSをきっかけとした消費者トラブルの現状や特徴、消費者トラブルの相談事例、消費者トラブルに巻き込まれないために普段から気を付けておくべきこと、そして万が一SNS関連の消費者トラブルに巻き込まれてしまった場合の相談先について解説していきます。

 

Contents

SNSをきっかけにした消費者トラブルは全年代で注意が必要!

まずは、SNS関連の消費者トラブルがどれほど増えているのか、どの年代からの相談が多いのか現状を確認してみましょう。

 

直近10年でSNS関連の相談件数が急増

SNSの利用者が急速に増えていることに伴って消費者生活センターに寄せられるSNSに関連するトラブルの相談件数も年々増えています。

 

具体的な数字でいえば、2010年度は全年代合わせて3,143件の相談件数だったのに比べて、2019年度は19,251件と約6倍に増えています。年代別で見ると50歳以上の世代では2010年度は145件だったのに対し、2019年度では4,745件と30倍以上に大きく増加しています。

 

SNS関連のトラブルはもはや中学生や高校生などの若年層だけの問題ではなくなっていて、中高年層も気をつけなければならないトラブルになっています。むしろ、自由に使えるお金が多い分、被害額も大きくなりがちなので大人こそ気をつけなければならないと言えるでしょう。

 

よくある消費者トラブルの3つのパターン

消費者センターに寄せられるSNS関連トラブルの相談内容を分析してみると以下の3パターンに分けられます。

 

・SNS上の広告がきっかけとなるトラブル

・SNS上で知り合った相手からの誘いがきっかけとなるトラブル

・SNS上で知り合った相手との個人間取引のトラブル

 

これらは年代関係なくどの年代でも起きているトラブルのため、ご自身だけでなくご家族がこのようなトラブルに巻き込まれないように注意し合っていくことが大切でしょう。

 

パターン別SNS関連の消費者トラブル相談事例

SNS関連の消費者トラブルは大きく3つのパターンに分けられることはすでにお伝えしましたが、その具体的な相談事例を見ていきましょう。よくあるトラブル事例を把握しておくだけでもご自身がトラブルに巻き込まれることを未然に防ぐことにつなげられます。

 

SNSの広告きっかけの消費者トラブル

・「簡単なアンケートに答えるだけで月に100万円以上稼げる」というSNSの広告を見て副業サイトに登録した。稼ぐためには情報商材を購入しなければならないと言われ高額な商材を購入し入金もしたが一向に稼げる仕事の情報はもらえず騙されたと気が付いた

 

SNSに流れてきた広告を見て魅力的と思い1回だけなら試してみたいと思い除毛クリームを注文したが、勝手に定期購入の契約になっていてなかなか解約できない。

 

SNSの健康食品の広告を見て「1回限り」を選択して注文したのに勝手に「定期購入」にされていて2回目以降も届き驚いた。

 

SNSでモデルになれるかもしれないという広告があったのでオーディションを受け、後日合格の通知が来たが高額な講座を契約させられてモデルの仕事は一度もさせてもらっていない。

 

SNSの広告をみてダイエット食品を購入したが、それを摂取すると体調が悪くなるので解約を依頼したが定期購入になっているから半年は解約できないの一点張りだった。

 

SNSで知り合った人からの勧誘でトラブル

SNSで知り合った経営者の人からアパレルバイヤーに興味はないかと誘われ、転売ビジネスの契約をしたが全く稼げない。

 

SNSで知り合った女性とやりとりし、親が病気だと言われこれまでに300万円以上も費やしているが未だに会えない。

 

・マッチングアプリで知り合った相手とやり取りをしていたところ、「別のサイトでやり取りをしよう」と言われ出会い系サイトに登録させられ登録料として高額な費用を支払った。

 

SNSで直接メッセージが届き「芸能界に興味はありませんか?」と言われ芸能事務所に登録したが高額なレッスン料だけ払って芸能人としての仕事は一切ない

 

SNSで知り合った相手と個人間取引でトラブル

・大好きな歌手のコンサートがあることを知ったがチケットが手に入らず残念に思っていた時にSNSの直接メッセージで「チケットを譲ります」とメッセージが届いた。どうしても行きたいコンサートだったので慌てて購入したがコンサート当日になってもチケットが届かない

 

・アイドルグループのコンサートグッズがどうしても欲しかったが会場に行くことができないので代行購入を依頼し、お金も振り込んだが一向にグッズが届かない上に連絡も取れなくなった。

 

SNSでアクセサリーを自分で作って販売をしているという人のアカウントからフォローされメッセージが届き、デザインが可愛かったので購入することに決めて代金も支払ったがなかなか商品が届かずアカウントも消されて連絡が取れなくなった。

 

SNSきっかけの消費者トラブルに巻き込まれないために気を付けるべきこと

SNS関連の消費者トラブルの相談事例をいくつかご紹介しましたが、どれもいつ自分の身に起きてもおかしくないものだと感じたかと思います。普段から利用しているSNSだからこそ安心して気軽に購入したりお金を振り込んだりしてしまうのでしょう。

 

そこで、SNS関連の消費者トラブルに巻き込まれないために普段から気を付けるべきことについてお伝えしていきます。ご家族がいる方は、ぜひ家族全員で消費者トラブルに関する知識やSNSのリスクについて話し合っておくといいでしょう。

 

SNS上だけの知り合いを簡単に信用しない

SNS上で知り合った相手が本当に信用できる相手かどうか慎重に判断することが自分の身を守るうえで重要です。人をすぐに信用することは良いことでもあるのですが、ことSNS上の関係においては極めて危険なことです。

 

SNS上では話が合い、趣味も一緒で信用できると思ってしまうこともあるかもしれませんが、SNS上の「知り合い」は本当に信頼できる相手かどうかは分かりません。信頼してお金を支払ったのに、お金を払った途端に相手と連絡が取れなくなりアカウントが消されてしまうことも珍しくないのです。

 

SNS運営事業者の利用規約では「SNSがきっかけでトラブルが発生しても責任を負わない」旨が定められていることがほとんどなので、金銭的なトラブルになっても相手に返金を求めることは困難です。SNS上で知り合った個人とは金銭のやり取りはしないこと、本当に信用できる相手なのか慎重に判断することは何より大切です。

 

また、もしもSNSで知り合った相手にお金を騙し取られたとわかったら、相手を特定するための調査を専門の調査会社に依頼することも視野に入れてみるといいでしょう。SNS調査に強い調査会社であれば犯人の特定が可能な場合もあるので相談してみるのもいいかもしれません。

 

SNS上の広告の謳い文句を鵜呑みにしない

SNS上には様々な広告が出ていますが、広告の謳い文句を鵜呑みにするのはとても危険です。

 

大幅な値引きや相場より以上に安い低価格商品、また、商品の効果を過剰に謳っている広告は怪しいと思ったほうが良いです。

 

SNS上の広告では「簡単に儲かる」「必ず痩せる」「損はしない」「満足できなければすぐに解約できる」などと書かれていますが、世の中甘くはなく簡単に儲かることもなければ「必ず」と言い切れることもありません。

 

SNS上の広告の謳い文句は鵜呑みにしないようにしましょう。SNS上の広告をきっかけとしたトラブルは通信販売系が多いのですが、通信販売にはクーリング・オフ制度がありませんので事前にしっかりと広告の内容を確認することが必須です。

 

チケットなどは公式サイトで購入する

TwitterInstagramなどのSNSでは自分の趣味趣向について投稿する人が多いですが、これが消費者トラブルを招いてしまうことも多いです。あなたの趣味についての投稿を見た加害者があなたが好きそうなスポーツの観戦チケットやアイドルグループのコンサートチケットについて「安く譲る」などと持ち掛けてくる可能性が高いからです。

 

SNSで知り合った個人からチケットを買うことは消費者トラブルに巻き込まれる可能性が非常に高いため、チケットなどは公式サイトで買うことを徹底することも身を守るうえで重要なことです。

 

個人情報は簡単に渡さない

SNS上で知り合った相手と取引する際に個人情報を求められることがありますが、個人情報を渡すのはかなり危険な行為ですので、簡単には渡さないようにしましょう。

 

学生証や運転免許証、健康保険証などの身分証明書の情報をSNSで送ってしまうと、取り消すことも後から取り戻すことも難しく、個人情報が流れたことが原因でより大きなトラブルに発展することがあります。

 

また、SNS上で個人情報や生活圏が分かるような写真の投稿、身元が分かるような書き込みをすることも危険です。その情報が拡散される可能性もありますし、あなたの身元や生活圏を知った人がストーカーとして付きまとってくる危険性もありますので、安易に個人情報や個人を特定できる内容の投稿をすることはしないようにしましょう。

 

親子でSNSのリスクについて話し合う

中高年のSNS関連の消費者トラブルが増えていると冒頭でもお伝えしましたが、中学生や高校生のトラブルも発生しています。

 

中学生高校生くらいの年齢だとまだまだSNSのリスクや個人情報が流出したときの恐ろしさを理解できていないことが多いので、親子でSNSのリスクについてしっかりと話し合い、使い方について一緒に考えることがトラブル予防につながります。

 

場合によってはフィルタリング機能を使うのも効果的でしょう。

 

万が一SNSで消費者トラブルに巻き込まれた場合の相談先

SNSが身近であるからこそ、SNSによる消費者トラブルも身近な存在になってしまいます。年齢や性別に関わらず、SNS関連の消費者トラブルは誰にでも起こりうるもので、決して他人事ではありません。

 

そのため、万が一消費者トラブルに巻き込まれてしまった場合の相談先について把握しておくことでいざというときに焦らず対応することができるでしょう。

 

消費者トラブルに巻き込まれた際に焦って対応してしまうと、さらなるトラブルを招いてしまう恐れもありますので、相談先についてはしっかりと確認しておくことをお勧めします。

 

消費者ホットライン

SNSで消費者トラブルに巻き込まれてしまった!とわかったら、まずは消費者ホットライン「188」に連絡しましょう。全国どこからでも3桁の「188」の電話番号でかけることができ、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながって専門の相談員がトラブル解決を支援してくれます。

 

電話相談だけでなく、最寄りの消費生活センターに直接訪問して相談することもできます。消費生活センターでは、すでにトラブルになっている場合はもちろん、トラブルになっていない場合でも契約に関して不安なことやわからないことなどを相談することができますので、SNSでの知り合った相手との契約や広告に関して聞いてみることもできます。

 

関連サイト:政府広報オンライン|消費者ホットライン

 

弁護士

消費者トラブルを解決するためには、特別なルールについての専門的知識や類似事件を解決してきた経験が必要な場合があります。

 

弁護士に相談すれば、トラブルの加害者に対して、契約取消や契約内容の無効を主張して代金返還を求める内容証明郵便を送付し、代理人として代金返還などの交渉をしてくれます。

 

一個人が交渉しようとしても相手はなかなか応じてくれませんが、弁護士が対応した瞬間に応じてくれる場合もあるので、相談してみる価値は大きいでしょう。契約取り消しができる条件や契約条項が無効になる条件などはケースによって判断してもらったほうが確実なので、直接弁護士に相談してみるといいですね。

 

ただし、弁護士に相談してトラブルが解決できるのは加害者が誰か分かっている場合です。SNSで知り合った個人とのトラブルの場合、相手が誰かわからないうちにアカウントが消されてしまうことも多いため、弁護士に相談しても解決できない場合もあります。その場合は次にご紹介する探偵に相談するのがベストです。

 

探偵

SNS関連の消費者トラブルでは、トラブルの相手のSNSアカウントが匿名で作られたものであることがほとんどなので、金銭を騙し取られてから連絡を取ろうとしても取れなかったりアカウントが削除されてしまったりして、相手が誰かまったく判明できないケースが非常に多いです。相手がわからなければ交渉することもお金を返してもらうこともできないので、泣き寝入りを余儀なくされている方がほとんどでしょう。

 

相手がわかっていない状態では法律のプロである弁護士であっても太刀打ちできないのです。

 

そこで頼りになるのが調査のプロである探偵です。SNS調査やネットトラブル調査に強い探偵であれば、独自のネットワークを活用したり、やり取りの履歴をさかのぼったりして消費者トラブルの加害者のアカウント、ひいてはアカウントの持ち主の氏名や住所まで暴いてくれることが期待できます。

 

個人の被害者が消費者トラブルについて警察に相談しても被害額がそれほど大きくない場合、捜査に踏み切ってくれることはないため、犯人を捕まえたい、泣き寝入りしたくない、という場合は探偵に依頼して犯人を特定してもらうことも視野に入れるといいでしょう。

 

まとめ

暇つぶしについSNSを見てしまうという人はかなり多いのではないでしょうか。

 

SNSは自分の趣味や思い出などについて自由に投稿できますし、仲の良い人の近況を知れたり好きな芸能人の動向をチェックしたりでき、使い方を間違えなければ素晴らしいツールですが、ちょっとしたミスからとんでもないトラブルに巻き込まれてしまうのも事実です。

 

SNSで消費者トラブルに巻き込まれないよう日頃から注意すること、そして万が一消費者トラブルに巻き込まれた場合は、焦らず専門機関にすぐに相談することが何よりも大切です。