
SNSは最近出てきたコミュニケーションツールで、趣味の情報を得たり、自分の近況を発信したり、遠方の友人たちとスムーズにコミュニケーションを取ったりと利便性が注目されていますが、利用者と利用頻度が高まることによってSNSに関連するトラブルも増えてきています。
今回は、実際にどのようなトラブルが起こっているのか、SNSトラブルを防ぐためにはどのようなことに気をつければいいのか、そして万が一SNSトラブルに直面したらどのように対処していけばいいのか、について紹介していきます。
SNSトラブルの現状とは
TwitterやInstagramなどのSNSで誹謗中傷を受け、それを苦にタレントや女子高生が自殺してしまったという痛ましい事件は記憶に新しい方も多いかと思います。
SNSでの誹謗中傷によるトラブルは有名人だけでなく一般人や学生たちの間でも後を絶ちませんが、SNSトラブルには誹謗中傷以外にも詐欺やストーカー被害、なりすましなど様々なトラブルが発生しています。
SNSの利用状況
まずは全国におけるSNSの利用状況について見ていきましょう。
インターネットやスマートフォンの普及に伴って、SNSの利用状況は急速に増加している傾向にあります。総務省による「通信利用動向調査」を確認すると、2019年に全体の69%の人がSNSを利用しているとなっています。
中でも最も利用の多い年代は20~29歳で、この年代では87.1%と9割に迫るほどの人たちがSNSを利用しているようです。次に多いのが30~39歳で83%の人が利用しています。80歳以上の人たちでも42.8%の人がSNSを利用しています。
SNSトラブルが多い年代は?
消費者庁が公表している「消費者白書」のデータでは、SNSに関する何かしらのトラブルの相談件数は2015年以降から年々増加していて、相談件数の割合は20代が一番多くなっています。
2019年では20代の相談件数の割合は31.1%、次いで多いのが40代の16.7%で、20代が圧倒的に多くなっています。20代では親元を離れる人も多いため、身近に相談できる人がおらず、SNSトラブルが悪化して取り返しのつかない事態になることも少なくないでしょう。
SNSトラブルのよくある事例
SNSトラブルの種類は年々多様化していますが、具体的にはどのようなトラブルが多く報告されているのでしょう。よくあるトラブル事例をご紹介していきますので、このようなトラブルに巻き込まれないよう十分に注意しておきましょう。
・投稿した自撮り写真から個人が特定される
・投稿した写真の情報から住所がバレる
・SNSの投稿内容から留守だとバレて空き巣に入られる
・自撮り写真でファンが付きストーカー被害に遭う
・詐欺被害に遭う
・友人と写った写真をSNSに載せて友人関係が悪化する
・児童ポルノ被害に遭う
・誘拐事件に巻き込まれる
・誹謗中傷を受けて自殺に追い込まれる
このようなトラブルは被害者になることはもちろんですが、知らないうちに加害者になってしまうケースも少なくないため、防止策の徹底が必要になってきます。
SNSトラブルを防ぐためにできる対策
SNSトラブルは誰でも巻き込まれる可能性のあるものです。自分では危険な使い方はしていないと思っていても、加害者たちの手口も巧妙になってきているので気が付かないうちに危険な使い方をしてトラブルに巻き込まれることも今後多くなっていくでしょう。
そこでこの章では、SNSトラブルを防ぐために普段から意識すべきことや、簡単にできる対策について解説していきます。
SNSのプライバシー設定
一番初めにやるべきSNSトラブル防止策として、プライバシー設定を見直すという方法があります。
FacebookやInstagram、Twitterなどそれぞれで投稿の公開範囲を制限するようにすれば、プライベートな情報を載せた場合もリスクが少なくなります。
Facebookでは、投稿内容近くの地球儀マークをクリックすると「公開」「友達」などを選択することができますし、InstagramやTwitterでは、自分のアカウントに鍵をかけて非公開設定にすることで自分が承認したアカウントだけしか見ることができない設定にできます。
ただし、どれだけプライバシー設定をして公開範囲を制限していても、あなたの友人がそれを広める可能性もゼロではありませんので、やはり投稿内容には十分に注意する必要があります。
怪しい投稿やアカウントに反応しない
有名な企業や行政機関に見せかけたSNSアカウントから直接メッセージが届き、添付されたURLに誘導されたり、ファイルを開かされたりした結果、ウィルスに感染するケースも増えています。また、誘導された先のサイトで個人情報を入力させられる被害もあります。
このような詐欺まがいのメッセージを送るアカウントは、アイコン写真が本物と少し違っていたり、名前のローマ字が1文字違っていたりよく見てみると違和感があることが多いです。
少しでも怪しいと感じる場合はそのアカウントの指示を無視して反応しないことが大切です。また、怪しい部分があるかどうかの判断が自分だけではできない場合は、インターネットで状況を検索すれば同じような状況で被害に遭った人の情報が出てきますので、判断が難しい場合はネットで調べてみるのもいいでしょう。
個人情報は載せない
SNSトラブルを防ぐうえで、個人情報の取り扱いに注意するということもとても重要です。個人情報に関するトラブルも、投稿内容を仲間内だけしか見ていないという意識からトラブルに発展してしまうことが多いようです。
本名や住所、電話番号やメールアドレス、IDとパスワードをSNSに載せることが危険であることはすぐにわかると思いますが、生活圏内がどこなのか、通っている学校や働いている会社、最寄り駅などの情報をSNSに載せてしまうだけでも危険にさらされることがあります。
「このくらいの情報なら知られても問題ないだろう」と思っていても、SNS上のあらゆる情報をかき集めれば、あっという間に個人を特定されてしまいます。
何気なく撮った写真を載せる場合も、写真の位置情報から生活圏内や最寄り駅、自宅などがバレることもありますので、個人情報が流出しないかどうかは特に注意深くチェックしておきましょう。
また、全体が見ることができるタイムラインだけでなく、友人との個人のメッセンジャー機能であっても、相手がなりすましで送ってきている可能性もありますので、SNS上では対個人であっても絶対に個人情報は載せないようにしましょう。
自分の投稿を友達だけが見ていると思わない
SNSトラブルを防ぐために心がけておきたいこととしては、自分や友達だけがあなたの投稿を見ているとは決して思わないということです。
SNSに投稿した瞬間から、それは世界中に発信されていることと同じです。SNSでの炎上トラブルやSNS上のストーカー被害、大量の誹謗中傷被害などは、たまたまSNSであなたの投稿を見かけた第三者から行われることがほとんどなのです。
たとえば、仮にSNS上で「宝くじが当たった~」と投稿したら、それは世界中の町中に自分が宝くじが当たってお金をたくさん持っているという張り紙を貼りつけて歩いているようなものなのです。
犯罪やモラルに反していることを投稿していないか考える
そもそも犯罪を行うことやモラルに反することを行うことはやってはいけないことだというのが大前提ですが、特にSNSでそれらに関することを投稿していないか考えることも大切です。
ここ数年でかなり多くなっているのが、TwitterやInstagramなどのSNS上で犯罪自慢を行うケースです。バイト先での犯罪や店舗での迷惑行為などを写真や動画を撮影し、SNSに載せて仲間内で楽しもうとした結果起こるトラブルです。
仲間内だけで楽しむつもりだったのに、日本中や世界中に広がり、自分たちが想像していなかったレベルの大きなトラブルに発展してしまうのは、最近でもニュースでよく取り上げられていますよね。
犯罪の意識がなかったとしても「今からSNSに載せようとしているこの写真OR動画は犯罪ではないか、モラルに反していないか、見た人を不快にさせるものではないか」ということを一度確認してから投稿するように意識しましょう。
自分の写真を載せるリスクを理解する
自分が写った写真をSNSに載せるのは多くの人が当たり前のようにやっていることですが、実は自撮り写真をSNSに投稿することはSNSトラブルを最も起こしやすいと言われています。
SNSに自分の写真を載せたらその時点でこの先ずっとネット上にデータが残ってしまいます。Instagramのストーリーズは24時間で消える仕組みになっていますし、あなたが投稿を消せばそれで消えると考えてしまうかもしれませんが、SNSに載せた瞬間に悪意ある第三者がスクリーンショットなどでデータを保存する可能性も考えられます。
SNSに写真や動画を載せることで誰でもそれを見ることや保存することができ、顔写真から本人を特定することもできてしまうのです。
自分の写真をSNSにアップすることの危険性も理解するべきですし、加えて自分以外の友達や家族、恋人などの写真を載せる際も十分に注意しなければなりません。まして相手の許可なく勝手に載せるのは様々なトラブルを引き起こす可能性があるため辞めましょう。
SNSに載せた写真が原因で、自分や周りの人たちが思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があることを十分に理解することが大切です。
無断転載は絶対にしない
SNSトラブルで多いものの中に無断転載があります。無断転載とは、自分ではない誰かが作った音楽やイラスト、写真などを本人に許可なくSNS上で投稿してしまうことで起こるトラブルです。
素晴らしいものだからみんなに知ってもらいたい、見てもらいたい、広めたいという気持ちから、良かれと思ってやっている人も多いのですが、それは無断転載にあたりますので、他人が作ったものや撮影したものをSNSに投稿したい場合はきちんと本人に許可を取ってからどのように掲載したらいいかを確認して投稿するようにしましょう。
正しい手順を踏まずにSNSに勝手に投稿してしまうと、使用料などを取られてしまったり、著作権侵害で訴えられてしまったりするリスクもあるのです。
こまめなログアウト
SNSのアカウントにログインしっぱなしの方も多いと思いますが、こまめにログアウトすることも大切です。ログアウトすると再び使う時に不便な面はありますが、仮にスマートフォンを無くしてしまったり、パソコンを勝手に使われたりしてしまっても情報が漏れることを防ぐことができます。
また、SNSと連携しているアプリを使っている方も注意が必要です。ネットで買い物をするときなど、TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSアカウントから買い物サイトへ情報を引き継ぐことができるサービスも多くなっていて、必要な情報が自動入力されるような機能もあり、とても便利ではありますが、情報漏洩のリスクが高くなってしまいます。
どのSNSがどのサイトと連携しているのか、しっかりと把握しておき個人情報が洩れないようこまめにログアウトしてリスクを回避しておきましょう。
万が一SNSトラブルに巻き込まれた場合の対処法とは
一度SNSトラブルを起こしてしまうと、解決するのが大変になってしまいますので、トラブルは未然に防ぐのがベストですが、どれだけ気を付けてSNSを利用していてもトラブルが起こってしまうことはあり得ます。
もし、自分や身近な人がSNSトラブルに巻き込まれてしまったらどのように対処していくのが良いのでしょうか。
身近な信頼できる大人に相談する
あなたがもし未成年である場合は、信頼できる身近な大人に相談しましょう。親御さんに相談できそうであれば親御さんに相談してください。
自分はもうなんでも一人でできる、と思っていても、トラブルの対処は大人でなければ難しいことが多いです。子供だけで解決しようとするとさらなるトラブルを招く恐れもありますので、親や兄弟など身近な大人にまずは話をしてみるのが得策です。
SNSトラブル専門窓口に相談する
ここからは、SNSトラブル解決における専門家をご紹介していきます。SNS利用者が増えるに伴って現在では様々なトラブル専門窓口が設置されています。
有名なものとしては
・こころの健康相談統一ダイヤル
・いのちの電話
・いじめ相談
・子どものSOS相談窓口
・チャイルドライン
が挙げられます。
SNSトラブル相談窓口は無料で相談に乗ってくれますし、24時間対応している窓口が多いためいつでも相談に乗ってくれるというメリットがあります。秘密も厳守してくれますので、身近な人には相談しづらい、あまり周りに広めたくないという人にお勧めの相談先です。
相談窓口の相談員はあらゆるSNSトラブルの相談を受けているので、状況にあったアドバイスをしてもらえます。ただし、トラブル解決に向けての具体的な行動についてはアドバイスしかもらえず、実際にサポートしてくれたり代わりに行ってくれたりはしませんので、必要に応じて他の専門家の手を借りるのが良いでしょう。
警察に相談する
SNSトラブルに巻き込まれてしまった場合に警察に相談するという方法もあります。SNSで誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損や侮辱罪に当てはまる場合は警察に加害者を逮捕してもらうこともできます。
SNSトラブルの内容があまりにも違法性の高いものである場合や、加害者を逮捕してほしい場合などは警察への相談が効果的です。
ただし、警察が動いてくれるのはSNSトラブルが犯罪が成立している可能性が高いものの場合のみで、加害者が特定できていなかったり、犯罪が成立するとは言えなかったりする場合は積極的に動いてくれないことが多いです。
弁護士に相談する
SNSトラブルの加害者に損害賠償請求をしたい場合など、法的措置を検討している方は弁護士への相談がお勧めです。また、SNSでの誹謗中傷の書き込みをすぐに削除したい場合も弁護士への相談が良いでしょう。
損害賠償請求などの合法的な解決は素人個人ではなかなか難しいかと思いますので、SNSトラブルに強い弁護士に間に入ってもらうことでスムーズに解決することができます。弁護士が法律に則って解決してくれるため、トラブルをこじらせたり、さらなるトラブルを引き起こしたりすることを防げるので安全に解決することができるでしょう。
ただし、SNSアカウントが匿名のもので加害者が判明できていない場合は対応が難しくなる場合もありますので、そのときは次にご紹介する探偵に調査を依頼するとすぐに対応してもらえます。
探偵に相談する
SNS上でトラブルになってしまう場合、相手のアカウントが匿名であることが多いため、すぐには加害者が誰かわからないことも多いです。全く知らない見ず知らずの人かもしれませんし、学校の同級生や会社の同僚、近所の人など知っている人の可能性もあります。
トラブルの内容だけでは、トラブルを起こしている相手が誰なのかすぐにはわからないですし、加害者が誰かわからなければ、警察や弁護士もあなたの味方になることが難しくなってしまいます。
そのため、トラブルの相手がはっきりしない場合は、探偵に調査を依頼し、犯人が誰であるのか、そして犯人であるといえる証拠を取ってもらうことが先決です。
まとめ
今回は、SNSトラブルの現状やSNSトラブルを防ぐために普段から意識すべきこと、そして万が一SNSトラブルが起こってしまった場合の対処法についてまとめてきました。
SNS上のトラブルを放っておくと、拡散されて被害が拡大してしまう場合がありますし、犯人がわからない場合はさらなるトラブルが起きることを防ぐことも難しくなってしまいます。
対処が遅れて被害が拡大するとSNSのトラブルを完全に解決するというのは難しくなりますので、トラブルが起こったらなるべく早く、そして適切に対処していきましょう。