
TwitterやFacebook、Instagramに代表されるSNSを利用する人は世代を問わず増えてきていますが、それに伴ってSNSで嫌がらせ被害を受けるケースも増えています。
誹謗中傷を受けたり個人情報を勝手にさらされたり、なりすましに遭ったりとSNSのトラブルは種類も増えていて悪質性も増し、後を絶たない状況になっています。
このようなSNSでの嫌がらせに遭った時、「警察は犯人を逮捕してくれるのだろうか?」「警察に相談したら対応してくれるのだろうか?」「どうやって犯人を見つければいいのか?」と疑問に思うこともあるでしょう。
そこで今回は、SNSで嫌がらせを受けた時どうような場合に警察が対応してくれるのか、実際に警察に相談する方法はどうすればいいのか、警察が対応してくれない場合に警察以外の相談先はあるのか、について詳しく解説していきます。
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SNSでの嫌がらせで警察は基本的に動いてくれない
SNSでの嫌がらせは悪質性が高いものであれば、名誉毀損や侮辱罪などに当たる場合もあり、警察に逮捕してもらうことができるケースももちろんあります。
しかし、実際にはSNS上で嫌がらせ被害を受けたからと言って必ずしも警察が動いてくれるわけではありません。
警察が逮捕に向けて動くためには、嫌がらせ被害が犯罪に該当することを証明する必要や、犯人であると特定できる証拠をそろえていく必要があります。
SNSで行われる嫌がらせはリアルな世界で行われる嫌がらせ(近所の人から家に落書きをされたり、車を傷つけられたりという嫌がらせ)よりも、警察が動くための証拠をそろえるのが非常に難しいため、警察はSNSでの嫌がらせに対してあまり積極的に動いてくれないというのが現状なのです。
実際、SNS上の犯罪は相談件数の割に受理件数が少ないというデータが出ていて、SNSでの名誉毀損や誹謗中傷の相談件数は平成30年時点で1万件を超えていますが、警察での受理件数は200件程度にとどまっているのです。
そのため、警察への相談方法だけでなく、警察以外の相談先についても把握しておくのが得策と言えます。
SNSの嫌がらせで警察が動くときは刑事事件として成立するとき
警察がSNSでの嫌がらせではなかなか動いてくれないというのは先ほどの章で説明しました。では、警察がSNSの嫌がらせを刑事事件として扱って積極的に対応してくれるのはどのような場合でしょうか。
具体的に見ていきましょう。
名誉毀損罪
SNSでの嫌がらせを犯罪として扱える典型的なものは、名誉毀損罪が成立する場合です。
名誉毀損罪とは、公然と社会的な評価を下げてしまう具体的な事実を摘示する場合に成立する犯罪です。具体的には
「●●さんの会社は残業ばかりさせてブラック企業である」
「◯◯さんは会社で不倫ばかりしている」
「△△さんは万引きを繰り返している」
などとSNSに書き込まれる場合に名誉毀損罪が成立し、刑事事件として取り扱ってくれます。
業務妨害罪
SNSでの嫌がらせが業務妨害罪に該当する場合もあります。業務妨害罪は、虚偽の情報を伝達したり、相手の意思を制圧する気勢を示したりすることで本来あるべき正常な業務運営を阻害する場合に成立する犯罪です。
具体的には「○○店を爆破する」「●●会社の社長の娘を誘拐する」というような投稿をSNS上で行い脅迫的な言葉を浴びせることでその会社やお店の正常な業務運営を阻害すると威力業務妨害に該当します。
また、「●●店のハンバーグには虫が使われている」「●●店は衛生管理が雑だからゴキブリがキッチンに大量にいる」など、虚偽の情報をSNSで流して信用を傷つけるような行為は信用毀損罪に該当する可能性が高いです。
リベンジポルノ防止違反
SNSでの嫌がらせが、リベンジポルノ防止法に抵触するというケースも少なくありません。
例えば、写っているのが誰であるかを特定できる状態で、裸の写真や性行為中の写真や動画、口淫行為をしている写真や動画をSNSに投稿した場合はリベンジポルノ防止違反に該当する可能性が高くなります。
SNSでの嫌がらせを警察に相談する方法とは
あなたが受けているSNS上の嫌がらせが、先の章でご紹介した名誉毀損罪や業務妨害罪、リベンジポルノ防止違反に該当する可能性がある場合、警察に相談して対応してもらえる可能性が高くなります。
では、実際にどのような方法で相談することができるのでしょう。
警察に嫌がらせを相談する方法は2つ
結論から言うと、警察にSNSの嫌がらせを相談する方法は「被害届の提出」と「告訴状の提出」の2つがあります。
被害届は、単に警察に対して「被害を受けました」と報告するための書類です。これに対し、告訴状は「被害を受けたので犯人を罰してほしい」と警察に申し立てて、刑事告訴するための書類です。
それぞれの方法についてより詳しく見ていきましょう。
警察に被害届を提出する
1つ目の相談方法である被害届を提出する方法について見ていきましょう。
被害届の用紙は警察に備え付けてありますので、その用紙に被害内容や必要事項を書き込んで警察に提出するだけでOKです。なお、SNSでの嫌がらせ被害については各都道府県のサイバー犯罪窓口に連絡をして手続きをするとスムーズです。
警察に被害届を出して相談する際には、
・わかっている範囲で加害者の情報(アカウント名・名前・住所・年齢・勤務先など)
・嫌がらせ被害を証明する証拠(該当SNS名・嫌がらせを受けた投稿のスクリーンショットなど)
・ご自身の印鑑と身分証明書
を用意していきましょう。
警察に告訴状を提出する
2つ目の相談方法である告訴状の提出についても見ていきます。
告訴状の提出も被害届と同様に警察署ですが、告訴状に記入する内容は被害届よりもかなり詳しいもので、被害内容が犯罪に該当することを証明できるものでなければなりません。また、同時に被害内容を証明できる証拠も提出しなければ警察は動いてくれません。
証拠がなかったり、証拠が不十分だったり、告訴状の内容が不明瞭だったりすると、警察は動いてくれなくなってしまい、告訴状が受理されなくなってしまいます。
警察が動いてくれるような客観的な証拠を集めることは素人ではなかなかできませんので、SNSトラブルに強い探偵や調査会社に調査を依頼するのがお勧めです。
また、告訴状の作成も一人で行うよりは弁護士など法律に強い専門家に相談しながら作成していくほうが確実でしょう。
SNSで嫌がらせを受けた時の警察以外の相談先とは
SNSの嫌がらせに対して、警察はなかなか積極的に動いてくれないということはここまででご説明した通りです。
もちろん、証拠を揃えて犯人を特定し、犯罪に該当することを証明できれば警察も動いてくれますが、かなりハードルが高いのです。
しかし、警察以外にもSNSで嫌がらせを受けた時に頼れる相談先は存在しますのでご安心ください。ここでは頼れる相談先を3つご紹介していきます。
運営会社
SNSで嫌がらせを受けた時、「犯人を特定しなくてもいいからこの嫌がらせの投稿だけどうにかして消してほしい!」という場合もあるでしょう。
そのような場合は、わざわざ警察に相談しなくてもSNSの運営会社に相談して解決できることもあります。
投稿内容がSNS利用規約に違反していれば比較的スムーズに処理される場合が多いため、法律の知識がない場合や、複雑な手続きが苦手な方でも簡単に対応してもらうことができるでしょう。
削除依頼はSNSによって問い合わせフォームや削除依頼ページが設置されていますのでそこから削除してほしい投稿のスクリーンショットや相手のアカウント名、投稿された日時などを入力して申請しましょう。
探偵
「嫌がらせをしてきたのが誰なのか特定したい」「犯人に対して法的措置を取りたい」という場合は、犯人特定のための調査をしなければいけません。
しかし、SNSは匿名アカウントが作れる場合も多く、嫌がらせをしてくる犯人の多くは匿名アカウントから嫌がらせをしてきているため、素人では犯人がどこの誰なのか突き止めることは不可能に近いでしょう。
そこで頼りになるのが探偵です。探偵であれば警察と違って調査を依頼すればすぐに調査を開始してくれますし、調査力も警察に引けを取りません。
なお、依頼する探偵はSNSトラブルの調査に力を入れていて実績のある探偵事務所を選ぶことが重要です。
弁護士
SNSでの嫌がらせについて相談できる専門家として弁護士も頼れる存在です。
警察はSNSでの嫌がらせが刑事事件としての犯罪に該当しない場合、対応することができませんが、弁護士は刑事事件だけでなく民事事件としても問題を捉えることができるため、幅広い法律問題に対応することが可能です。
なお、弁護士も犯人が特定できていないと法的措置を取ることが難しいため、まずは探偵に犯人を特定してもらい、犯人であるという証拠を掴んでもらってから弁護士に法的措置を取ることを依頼するという手順がベストでしょう。
まとめ
SNSでの嫌がらせ問題は、警察に相談してもなかなか積極的に動いてもらえる可能性は低く、刑事事件として立件していくのも難しいのが実情です。
SNSで嫌がらせ被害に遭った場合は、まずSNSの運営会社へ報告して問題の投稿を削除してもらうことから始めたほうがいいでしょう。
また、もしどうしても犯人が誰かはっきりさせたかったり、犯人に対して法的措置を取ったりしたいという場合は素人では調査が難しいため、プロの探偵に相談して調査してもらうことで犯人を特定し、嫌がらせを解決していくようにしましょう。