ネットやSNSで暴言を吐いたら犯罪になる?どういう罪に問われるのか

インターネットやスマートフォンの普及により、誰でも気軽にネット掲示板やSNSを利用できるようになり、興味のある情報を簡単に入手できたり、自分の情報を自由に発信できるようになったりしてとても便利になっています。

 

しかし、その反面でネット上やSNS上で相手を誹謗中傷するなど暴言のトラブルも増加し続けているというのが現状です。ネット上だと相手の顔が見えないためについ過激な暴言を吐いてしまう方が多いのですが、ネット上であっても他人を誹謗中傷したり、脅迫したりする行為は犯罪となる可能性が高いです。

 

今回は、インターネット上で暴言を吐いた場合にどのような罪に問われる可能性があるのか、どのような暴言が犯罪とされるのか、そして、実際にご自身がネット上で暴言を言われた場合にどのように対処すべきか、反対に自分が暴言を吐いてしまった加害者の場合、どのように解決していけばいいのかを解説していきます。

 

ネット上で誹謗中傷を受けていて悩んでいる方や、自分がネットに書き込んだ内容が訴えられないかどうか不安な方は、今回の記事を参考にしていただき、対策を練ってみてください。

 

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ネットだからと言って暴言を吐いていいことにはならない!

私たちが普段生活している中で、あまり好きになれない人、気に入らない人は誰にでも存在すると思います。

 

しかし、仮に大嫌いな上司や同僚、ママ友やご近所さんがいても、直接「お前ってうざいんだよ!」「まじでブサイクだな!」「不倫している分際で偉そうにすんなよ!」などと暴言を吐ける人はなかなかいないのではないでしょうか。

 

しかし、それがインターネット上やSNSになると、他人を傷つける言葉や人格を否定するような言葉、攻撃的な言葉を簡単に言えるようになってしまいます。そして、その被害件数はここ10年ほどでかなり増えてきてしまっています。

 

インターネットやSNSで暴言を吐いてしまいやすくなる理由としては、自分自身が誰であるのかを隠せる匿名性が大きく関係しています。また、相手の顔が見えないからこそ集団心理が働くことで、自分の気に入らない相手を攻撃しやすい状況が作られてしまうのも要因と言えます。

 

このように、インターネットやSNSではつい相手を攻撃するような暴言や誹謗中傷を書き込みやすい環境になってしまっているのですが、インターネット上で顔の見えない相手だからといって暴言を吐いて良いことには決してなりません。

 

もし、あなたの投稿した内容で相手が深く傷つき、名誉を汚したような場合など、相手から訴えられてしまったら、罪に問われることになりますし、大きな代償を払うことになります。

 

また、暴言を吐くだけでなく相手の個人情報を勝手にさらした場合も罪に問われることになります。

 

「インターネットだから」「相手の顔が見えないから」「匿名で誰が書いたかわからないから」と甘く考えず、ネットでも節度ある行動を心がけなければならないのです。

 

ネットで暴言を書き込んだら犯罪になる!問われる可能性のある罪とは

ネットだからと甘く見てつい暴言を書き込んでしまう方は少なくありませんが、暴言の内容や相手の受けた被害によっては罪に問われる可能性も十分考えられます。

 

ここでは、ネット上で書き込んだ暴言が犯罪になる場合の罪名や刑罰について確認していきましょう。

 

侮辱罪

侮辱罪は事実を摘示せず公然と人を侮辱した場合に成立する犯罪です。

 

「公然」とは、不特定多数の人が知ることのできる状況のことを指します。インターネットやSNSは誰でも閲覧することができるため、ネット上の暴言の場合この条件は満たされています。

 

また、「事実を摘示」とは、具体的な事実を示すという意味ですが、ここでいう事実とは「真実」であるかどうかは関係ありません。事実とは、書き込まれた内容について真偽を確認できることを指しますので、事実を確認できないような抽象的な暴言は「事実を摘示しない」といえるでしょう。

 

そのため、侮辱罪が成立する例としては、ネット上に「●●は馬鹿だ」「●●はブスだ」などと明確な評価基準のない暴言を投稿した場合に成立する可能性があります。

 

侮辱罪の法定刑は1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料となっています。ちなみに、令和476日までは侮辱罪の法定刑は拘留または科料となっていましたが、インターネット上の誹謗中傷トラブルが社会問題化したことを受けて、刑法の法改正が行われ法定刑が厳罰化されています。

 

このような動きを考えても、ネット上の暴言や誹謗中傷トラブルは、いつ誰が被害を受けてもおかしくありませんし、いつ誰が加害者になってしまうかもわからないほど身近な社会問題になってきていると言えます。

 

名誉毀損罪

名誉毀損罪は公然と事実を摘示することで人の名誉を傷つけた場合に成立する罪です。先ほどの侮辱罪と混同されがちなのですが、侮辱罪と違い、「事実を摘示」した場合に成立します。

 

例えば、「●●は会社のお金を横領している」「●●は社内で不倫をしている」など具体的な事柄を述べての暴言は、名誉毀損罪に問われる可能性があります。

 

なお、名誉毀損罪においては、摘示された事実が本当のことなのか、嘘のことなのかの真偽は問われません。仮に、投稿された内容が根も葉もない噂話であっても、その真偽を確認できる内容であれば「事実」とみなされるのです。

 

名誉毀損罪と判断された場合の法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金となっています。

 

脅迫罪

人やその人の家族の生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加えることを告知するような内容の暴言をネットに書き込んだ場合、脅迫罪に問われる可能性があります。仮に、書き込んだ暴言に対して本人が恐怖を感じなかったとしても、一般人が恐怖を感じる程度の告知があれば脅迫罪が成立します。

 

例としては、

・「殺すぞ」 → 生命に対する害悪の告知

・「殴りに行ってやる」 → 身体への害悪の告知

・「不倫をバラしてやる」 → 名誉に対する害悪の告知

・「お前の家を燃やしてやる」 → 財産への害悪の告知

などとネットに書き込んでしまっていたら、脅迫罪が成立するでしょう。なお、脅迫罪の法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

 

恐喝罪

暴言を吐くことに加えて、相手から金品を奪い取ろうとすれば恐喝罪が成立する可能性があります。

 

「●●円を払わなければ不倫の事実を会社中にばらしてやる」などと脅せば恐喝罪が成立するでしょう。恐喝罪の法定刑は10年以下の懲役です。

 

強要罪

脅迫めいた内容の暴言を書き込んだうえで、被害者に対して義務のない行為をさせようとした場合、強要罪が成立する可能性があります。

 

例えば、会社やサービスの口コミサイトなどで行き過ぎたクレームを書き込み暴言を投稿したことに加えて「土下座して謝罪しろ」「サービスを停止しろ」などと要求した場合が強要罪に当たる可能性があります。

 

強要罪の法定刑は3年以下の懲役です。

 

業務妨害罪

暴言によって他人の業務を妨害したり、虚偽の内容をネット上に広めたりして他人の経済的な活動を妨害したときに成立するのが業務妨害罪です。

 

個人に対してだけでなく、被害者が経営する会社や店舗に対しても成立します。

 

例で言えば、「●●会社はブラック企業でサービス残業ばかりさせている」とネット掲示板に書き込んだり、口コミサイトなどに「〇〇会社の化粧品は粗悪な素材を使っているから買わないほうが良い」などと書き込みをしたり、SNSに「●●店のラーメンは腐った材料を使っている」と投稿したりした場合に業務妨害罪が成立する可能性があります。

 

また、ネット上だけでなく、会社や飲食店に直接何度も電話をかけて脅しともとれるようなクレームを繰り返した場合なども業務妨害罪が成立するでしょう。

 

業務妨害罪の法定刑は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

 

ネットで暴言を言われたらどう対処するべきか

ネット掲示板やSNSで自分をターゲットにした暴言を見てしまったら誰でも大きなショックを受けると思います。

 

相手を訴えることはできるのか、どのように対応すればいいのか悩んでしまいますよね。

 

ここでは暴言を吐かれた場合に取るべき行動についてお伝えしていきます。

 

軽い暴言ならスルーする

暴言の内容が軽く、特に大きな実害もなく、ただ単に不快な思いをさせられたという程度であれば、スルーして相手にしないという選択肢を取るのがいいかもしれません。

 

暴言によって社会的な名誉を傷つけられたり、精神病を発症してしまったりなど実害が出ている場合は他の対処をするべきですが、軽い暴言でこちらが慌てふためいてしまうと加害者の思う壺になってしまう可能性もあります。

 

暴言を吐いてくる相手は、ネットに暴言を書き込むことでストレスを発散したり、あなたを挑発して反応を面白がったりしているだけです。こちらがいちいち暴言に対して反応して挑発に乗ってしまうと、相手の思い通りになってしまいますし、暴言によって精神的なダメージを受けていることを知られれば加害者は面白がってますますひどい暴言を吐いてきたり、他の方法で嫌がらせ行為をしてきたりする恐れもあります。

 

実害がなかったりあなた自身がそれほど気にせずにいられたりするのであればスルーするのが時間と労力の無駄使いにならずに済むかもしれません。

 

酷い場合は民事的な方法で解決する

ネットに書き込まれた暴言によって精神的苦痛を受けた場合など、暴言の程度が酷ければ暴言を書き込んだ相手に損害賠償請求し、民事上の法的措置を取ることも視野に入れるべきでしょう。

 

ただし、暴言を理由に損害賠償請求するためには、暴言が存在したという証拠や、誰がネット上にその暴言を書き込んだのかという証拠が必要です。

 

インターネット上で暴言や嫌がらせなどの書き込みをする人のほとんどが匿名で書き込みをしているため、犯人を特定するのは簡単なことではありません。さらに、暴言によってどのような被害を受けたのかという証拠もそろえる必要があります。

 

ネット上の犯人を特定するための調査や犯人であるという証拠集め、そして被害の証拠集めは、嫌がらせ調査に精通していて、ネット上の調査にも強い探偵に任せてしまうのがお勧めです。

 

参考記事:爆サイに書き込みをした犯人を特定する方法|犯人特定を行うべきはこんな時!

参考記事:爆サイで嫌がらせする犯人を訴えたい!犯人を特定する流れと注意点

 

また、損害賠償請求を成功させるためにはどのくらいの額の請求が妥当であるのかを正しく判断しなければなりませんし、裁判所への手続きには法的な知識も必要になりますので、訴訟を視野に入れた段階で、探偵と合わせて弁護士にも相談しておくのが安心でしょう。

 

刑事事件にあたる場合は処罰を求める

実害につながるような悪質な暴言を書き込まれた場合は、民事上の損害賠償請求をする他にも刑事事件として暴言を書き込んだ加害者の処罰を求めることを検討するのもひとつの方法でしょう。

 

ネットに書き込んだ暴言が刑事事件に発展すれば、確実に加害者の反省を促す機会となりますし、今後ネットに暴言を書き込んであなたを攻撃することを抑止することにもつながります。

 

ただ、どのような暴言がどの罪にあたるのか、警察に刑事事件として扱ってもらうためにはどのような証拠が必要なのかは素人の方だと判断が難しいと思います。また、実際に刑事罰として認めてもらえるような証拠を集めるには専門的な知識と調査力が必要です。そのため、ネットトラブル調査に強い探偵に相談しながら証拠を集めていくのが良いでしょう。

 

ネットで暴言を吐いてしまった場合どう解決すればいいか

「日頃のストレスから、ついネットに暴言を書き込んでしまった・・・」

「暴言がエスカレートして相手から訴えられそうになっている・・・」

という場合、どのように解決していけばいいのでしょう。

 

方法としては、ネットトラブルに関しての実績がある弁護士に相談して被害者の方と交渉してもらうというのが挙げられます。

 

暴言について被害者の方が刑事告訴して、もしも起訴されてしまったら前科がついてしまうことになります。前科がついてしまえば一生つきまといますし、今後の就職や結婚などにも大きな影響を与えてしまうでしょう。

 

弁護士に相談して代わりに交渉してもらい、被害者との示談を成立させることができれば、たとえ逮捕されても最終的に不起訴処分にできる可能性が高まります。

 

ただ、弁護士費用は30万円~50万円ほどかかってしまうケースが多く、費用としてはかなり高額になってしまいます。そのため、もし被害者から法的に訴えられるまで猶予がありそうであれば、ご自身で交渉力を高めて自分で相手と交渉して示談を進めるという方法もあります。

 

交渉力は一朝一夕に身につくものではありませんが、交渉のプロから直接指導を受ければかなり短期間に交渉力を身に付けることができます。交渉力に関してはこちらの【問題解決のための交渉コンサルティング】のサイトも参考にしてみてください。

 

まとめ

インターネットやSNSの普及に伴い、ネット上での誹謗中傷や暴言のトラブルは後を絶ちません。

 

暴言を吐かれてしまった被害者の方は、実害が出て被害が大きくなる前に犯人を特定して証拠をつかみ、場合によっては法的措置を取ることも視野に入れていくようにしてください。

 

また、暴言を書き込んでしまった加害者側の方は、相手の被害が大きくなってしまう前にしっかりと謝罪し、トラブルをできるだけ早く解決できるよう相手と交渉を進めていくことが大切です。