爆サイに悪口や誹謗中傷を書き込んだらどんな法的責任が発生する?

爆サイは、地域密着型のインターネット掲示板で多くの利用者がいます。地域に根付いているため、その地域の飲食店やお店などの情報が気軽に手に入れられてとても便利なネット掲示板である一方、そこに住んでいる人が見れば、どこの誰のことが書かれているのか、たとえニックネームや源氏名で書かれていたとしても簡単に予測できてしまうという一面もあり、悪口や誹謗中傷が書き込まれてしまうと被害がすぐに大きくなってしまう特徴もあります。

 

特に、キャバクラ嬢やホストなど夜のお仕事をしている方に対しての悪口や誹謗中傷が多くなっていて、売り上げやお店の評判にも大きな影響を与えています。

 

この記事を読んでいる方の中にも

「爆サイに根も葉もない悪口を書かれて売り上げが下がって困っている」

という悩みをお持ちの方も多いでしょう。

 

また、中には

「イライラしているときについ勢いで爆サイに悪口を書き込んでしまった。訴えられたらどうしよう」

と不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

 

今回は、爆サイに悪口を書き込んだ場合に問われる可能性のある法的責任にはどのようなものがあるのか、爆サイに悪口を書き込まれてしまったらどう対処すればいいのか、また、自分が爆サイに悪口を書き込んだ加害者になってしまったらどのような対応を取ればいいのか、詳しくお伝えしていきます。

 

Contents

「匿名だからバレない」は嘘

爆サイを含め、インターネット上の掲示板やSNSでは悪口や誹謗中傷の書き込みが後を絶たず、自殺や自殺未遂をしてしまう被害者を多く出していて社会問題になっています。

 

ネット掲示板やSNSでの誹謗中傷の書き込みが多くなってしまう原因の一つに、「匿名性」が挙げられます。

 

「匿名だから何を書き込んでもバレないだろう」と考えて、つい過激なことを書き込んでしまったり、人が傷つくようなことを投稿したりする人が後を絶ちませんが、たとえ匿名であろうと通信記録などが残っているため、被害者の方が誹謗中傷を書き込んだ犯人を特定しようと手続きを踏めば、誰が書いた投稿なのかわかってしまいます。

 

「匿名だからバレない」と軽く考えていると、身元を特定されて損害賠償請求をされるなど、後々大きな問題につながる可能性は十分に考えられるのです。

 

あえてストレス発散のためなどにネット掲示板やSNSに誹謗中傷を日常的に書き込んでいる人の中には、悪口投稿専用の「捨てアカ」を作って誰が投稿したのかバレるのを防ごうとしている方もいますが、書き込みを行ったネット掲示板やSNSにはIPアドレスとタイムスタンプといった発信者情報が残っています。

 

そのため、被害者の方が発信者情報開示請求を行うと、これらの情報が開示されてあなたの使っているプロバイダが特定され、最終的にあなたの個人情報も特定されてしまうのです。

 

「そんなつもりはなかった」「軽い冗談のつもりだった」「周りの投稿に合わせただけ」など本人は何気ない気持ちで投稿しているかもしれませんが、その投稿が誰かを深く傷つけ、民事裁判や刑事裁判などにつながることもあり、人生に大きなダメージを与えることになる場合もあります。

 

爆サイでの誹謗中傷に対して法的責任が問われた事例

爆サイに悪口を書き込んだら訴えられる可能性があるとお伝えしていますが、実際にはどのような内容の悪口を書き込むと訴えられてしまうのでしょう。

 

ある程度の基準を把握していただくために、ここでは実際に法的責任が問われることになった事例をご紹介していきます。

 

「●●は〇〇と不倫している」と書き込んだ

不倫しているというのは不貞行為なので相手の「社会的評価を下げる」内容であるため、名誉毀損であると判断されます。名誉毀損については後ほど詳しくお伝えしていきますが、公然の場で具体的な事実を挙げて社会的な評価を下げる行為を行った場合に問われる罪です。

 

爆サイというインターネット上の掲示板に書き込んでいる時点で、不特定多数の人が閲覧できるため「公然の場」と判断されます。

 

さらに、「〇〇と不倫している」という事実関係について述べているため「具体的な事実を挙げている」と判断されるため、このような書き込みは名誉毀損にあたります。

 

「●●は麻薬をやっている」と書き込んだ

こちらも名誉毀損罪と判断される内容の書き込みです。こちらも爆サイという不特定多数の人が閲覧できる場で書き込んでいますし、麻薬を使用しているという「具体的な事実を挙げて」います。

 

また、麻薬など薬物の使用や所持は法律で禁止されているため、「社会的評価を下げる」内容と判断されますので名誉毀損となります。

 

「●●は整形している」と書き込んだ

整形をしているというのは事実かどうかを確認できる内容を述べていますので、「具体的な事実を挙げて」いると判断できます。

 

薬物の使用や不貞行為などと違い、整形は法律で禁止されているわけではありませんが、整形に対して良いイメージを持っていない人も一般的に多くいますし、キャバクラ嬢など夜の世界では見た目もとても重視される世界なので、整形しているという内容は「社会的評価を下げる」可能性も十分に考えられる内容のため、名誉毀損であると判断されます。

 

「●●はブスでデブだ」

「ブス」も「デブ」も具体的な事実を挙げているわけではなく、抽象的な内容のため名誉棄損にはあたりません。

 

しかし、爆サイという不特定多数の人が閲覧できる状態で身体的特徴に関する暴言を含んで他人を侮辱しているため、「侮辱罪」に該当します。侮辱罪についても後の章でより詳しく見ていきます。

 

名誉棄損罪と侮辱罪は混同しやすいのですが、両者の大きな違いは「具体的な事実を挙げているかどうか」です。どちらも「公然の場」であることが必要なので不特定多数の人が認識できる状態で加害者の行為が行われることが前提です。

 

爆サイに悪口や誹謗中傷を書き込んだら具体的にどんな法的責任が発生する?

先ほど、爆サイに悪口を書き込んだ場合に法的責任が問われる可能性のある投稿について具体例を挙げてみてきました。

 

その際に触れた名誉毀損罪や侮辱罪を含め、この章では法的責任を問われた際の罰則についても見ていきましょう。

 

名誉毀損罪

先ほどの章でも触れた名誉毀損罪についてです。名誉棄損罪は「公然と事実を摘示し他人の名誉を傷つけ、社会的評価を下げた場合」に成立する罪です。

 

爆サイでの悪口を含み、ネット掲示板やSNSでの誹謗中傷の投稿の多くはこの名誉毀損罪に該当する可能性があります。

 

「公然と」とは不特定多数の人が閲覧できる状態のことを指し、「事実を摘示」とは具体的な事実としてその内容を広めることを指しています。この「事実」については真実かどうかは関係なく、たとえ虚偽のないようであっても名誉毀損にあたります。

 

なお、名誉毀損罪の公訴時効は3年なので、名誉毀損にあたる書き込みが行われてから3年が経過してしまうと公訴できなくなります。

 

名誉毀損と判断された場合の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下です。

 

侮辱罪

先ほどの章でも触れた侮辱罪は、事実を摘示しなくても、不特定多数が認識できる状態で、他人を侮辱した場合に成立する罪です。

 

具体的には「バカ」、「アホ」など抽象的な言葉や「チビ」「デブ」などの身体的特徴に関する暴言などを書き込んだ場合に侮辱罪と判断されます。

 

名誉毀損との大きな違いは「事実の摘示があるかどうか」です。また、侮辱罪の公訴時効は1年なので、書き込みが行われてから1年が経過すると公訴できなくなってしまいます。そのため、ネット上で侮辱的な書き込みをされた場合にはできるだけ早く対応しなければならないということです。

 

侮辱罪の法定刑は1年以下の懲役もしくは禁固、30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料とされています。

 

実は、侮辱罪の法定刑は令和477日から変わっていて、もともとは30日未満の拘留または1万円未満の科料とされていて、刑法に羅列されている罪名の中では最も軽い部類にありました。

 

しかし、皆さんの記憶にも新しいかもしれませんが、ネットで中傷を受けたプロレスラーの女性が自ら命を絶ったことや、今なおSNSやネット掲示板での悪質な投稿が横行し、被害を受けている人が後を絶たない事実を受け、侮辱罪の厳罰化が実現しました。

 

このように、インターネット上での悪口や誹謗中傷に対する罰則は今後も厳重になっていくことが予測されます。

 

脅迫罪

爆サイへの書き込みの内容によっては脅迫罪に問われる可能性もあります。

 

脅迫罪は、他人またはその家族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対して、害を加えることを相手に告知し、脅威を与えた場合に成立する犯罪です。

 

ちなみに、「害を加えることを告知して脅威を与える」ことに関して本人が恐怖を感じていなくても一般に人を畏怖させるに足りる程度であれば脅迫罪は成立します。

 

脅迫罪となった場合の法定刑は、2年以下の懲役又は30万円以下です。

 

信用毀損罪

信用毀損罪とは、嘘の情報を流して騙すなどすることによって、他人の信用や信頼を低下させた場合に成立する犯罪です。ここでいう「信用」とは、経済的な信用を指していて、その人の支払い能力や支払う意思に関する信用のほかに、商品の品質やサービスの質も含むとされています。

 

たとえば「●●店は業績が悪化しているからもうすぐに倒産する」「●●店で出している肉は産地を偽装していて粗悪品だ」などと書き込んだ場合には信用毀損罪が成立する可能性があります。

 

信用毀損罪と名誉毀損罪も混同しやすいのですが、名誉毀損罪は、ネットに書き込んだ内容が本当かウソかは関係なく成立します。仮に書き込んだ内容が嘘であっても名誉毀損になる場合もあります。一方で、信用毀損罪の場合は書き込んだ内容が真実の場合には成立せず、嘘の内容を書き込みそれによって他人の信用や信頼を低下させた場合に成立する犯罪です。

 

信用毀損罪の公訴時効は3年なので、信用毀損罪に該当する書き込みがあってから3年が経過すると公訴できなくなります。法定刑は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています。

 

民事上の損害賠償請求

ここまでは刑事上の犯罪と罰則について見てきましたが、書き込みの内容が刑法上の犯罪に該当しない場合であっても民事上の責任を追及されて損害賠償請求をされることも考えられます。

 

また、刑法上の犯罪に当たる場合でも、刑事罰とは別に、損害賠償請求や慰謝料請求されることもあります。刑事罰を厳罰したり不起訴にしたりする代わりに損害賠償請求をする、などの場合です。

 

民事上の損害賠償請求をされるケースとしては、相手の写真を無断でアップして肖像権の侵害になった場合や、他人の個人情報を勝手にネット上に書き込んでプライバシー権の侵害になった場合などです。

 

損害賠償金の相場に関しては、被害の内容や悪質性によっても変わってきますので一概には言えませんが、数十万円~100万円ほどと言われています。ヌード写真を勝手にネット上に掲載したような悪質な場合や300万円以上の賠償金を請求されることもあります。

 

爆サイに書き込まれた悪口に対してどのように対応すればいいのか

爆サイに書き込まれる悪口によって被害を受ける方も、爆サイに悪口を書き込んだ加害者側になってしまった方も、今後どのように対応していけばいいのか悩んでしまうでしょう。

 

被害者側であっても加害者側であっても、できるだけ早く対処することでトラブルが長引いたり被害が大きくなったりするのを防ぐことができます。ここでは適切な対処法について見ていきましょう。

 

爆サイに悪口を書き込まれた被害者の場合

爆サイに悪口を書き込まれてしまったら、ご自身が大きなショックを受けるだけでなく、その投稿を見た人からの社会的な評価が下がる危険がありますし、キャバクラ嬢やホストの方にしてみれば売り上げに大きな悪影響をもたらす可能性がありますよね。

 

対処法としては、

・投稿の削除

・書き込んだ犯人の特定

・犯人に対しての法的措置

が挙げられます。

 

スピーディーにあなたに関する誹謗中傷の投稿を削除することで、それを閲覧する人を少しでも減らすことができるため、店での評判などを考えるとできるだけ早く動いたほうがいいでしょう。

 

参考記事:爆サイの削除依頼は自分でできる!誹謗中傷トラブルを解決する方法とは

 

なお、爆サイに悪口を書き込む人の中には、粘着質な性格の人も少なくありませんので、一度投稿を削除しても繰り返し書き込みをされる可能性もあります。そのため、可能であれば悪口の書き込みをした犯人を特定し、なんらかの法的措置を取ることも検討したほうがいいでしょう。

 

参考記事:爆サイに書き込みをした犯人を特定する方法|犯人特定を行うべきはこんな時!

参考記事:爆サイの犯人に法的制裁を!爆サイに書き込みをした犯人を特定する方法

 

犯人の特定や法的措置を取るために必要な被害の客観的証拠などは、ネットトラブル調査に強い探偵に調査を依頼する方法がお勧めです。また、法的措置を取る際の書類作成については弁護士に頼むと安心ですね。

 

爆サイに悪口を書き込んでしまった加害者の場合

もしあなたが爆サイに悪口を書き込んでしまった加害者側の場合は、悪口の投稿をご自身で削除するという対処法が考えられます。

 

参考記事:爆サイのスレッドを自分で消す方法|根本的な解決は専門家に相談!

 

爆サイの投稿を削除して解決すればそれで問題ないのですが、すでに被害者の方が法的措置を取る準備を進め始めている場合は、かなり解決までに時間がかかる可能性があります。その際は、ネットトラブルに強い弁護士に相談し、民事の面でも刑事の面でも弁護を依頼するのが良いでしょう。

 

ただし、弁護士費用にはかなりのお金がかかってしまうので、できればご自身で被害者の方と交渉し、示談を進めたり謝罪を行ったりするのがベストです。交渉力を身に付ける方法についてはこちらの【問題解決のための交渉コンサルティング】のサイトもぜひ参考にしてみてください。

 

まとめ

爆サイを含め、インターネット上の掲示板やSNSでは、匿名で投稿できてしまうからこそ、軽はずみに悪口を書き込んでしまい、それが結果的に人を傷つけ誹謗中傷として訴えられてしまうこともあります。

 

普段から書き込みの内容には気を付けるべきですが、もし万が一訴えられそうになった場合は、なるべく裁判を避けられるよう示談での解決を目指したほうが良いといえるでしょう。相手と効率よく話し合いを進め、お互いが納得できる示談に持ち込むためには交渉力がポイントになります。そのためにも、早い段階で専門家に相談するようにしてください。