LINEで誹謗中傷を受けたら名誉棄損で訴えられる?相談できる専門家とは

家族や友達との連絡手段は電話やメールよりもLINEを使っているという人はかなり多いのではないでしょうか。2019年のとある統計ではLINEのユーザー数は8000万人を超えていて、今やスマホを持っている人のほとんどがLINEアカウントを持ってLINEで連絡を取り合っていると言えます。

 

しかし、LINEの便利さや手軽さの反面、LINE上でのいじめや誹謗中傷が近年大きな問題になってきています。自分がLINEで誹謗中傷を受けたりグループLINEなどでいじめを受けたりした場合、どのように対処すればいいのでしょうか。また、誰に相談すれば解決してもらえるのでしょう。

 

今回は、LINEを含め誹謗中傷が起こりやすい注意すべきサイトや、LINEでの誹謗中傷を名誉棄損で訴えることができるのかどうか、そしてLINEで誹謗中傷を受けた場合に相談すべき専門家について詳しくご紹介していきます。

 

Contents

LINEをはじめ、多くのSNSやサイトで誹謗中傷被害が多発している現状

インターネットが発展・普及したことで、LINEを含めたSNSやネット上のサイトで誹謗中傷被害が起きやすくなっています。

 

誹謗中傷が多発してしまっているのは、匿名性が高いSNSやサイトも多いため、「自分が悪口を言っているとバレないだろう」「ほかの人たちも悪口や誹謗中傷をしているし自分も言ってもいいかな」と集団心理が働いたり罪悪感が薄れたりしてしまうためだと考えられます。

 

実際、警察庁が発表している平成30年におけるサイバー被害についての調査によると、警察に寄せられている平成30年の名誉毀損・誹謗中傷に関する相談件数は11,406件に上っています。

 

これはあくまで警察が把握できている件数なので実際には泣き寝入りしたり解決を諦めたりして警察に相談されていないものを含めるともっと多くの方がネット上の誹謗中傷に苦しんでいると考えられます。

 

LINE以外にもたくさんある!誹謗中傷が起こりやすいサイト

LINEでも多くの方が誹謗中傷に苦しめられていますが、実際にはLINE以外にも誹謗中傷を受けやすいサイトやSNSがたくさんあります。

 

以下にご紹介するサイトでも誹謗中傷被害が多く起きています。誹謗中傷が起こりやすいサイトには特徴があり、それぞれのサイトの特徴を理解することで、もし仮に誹謗中傷被害を受けても、迅速に対処し被害を最小限に抑え込むことが可能になります。

 

この章では、誹謗中傷被害が起こりやすいサイトやSNSについて見ていきましょう。

 

SNS

LINEももちろん誹謗中傷が起こりやすいですが、LINEの他にも

・Twitter

・Instagram

・YouTube

などでも誹謗中傷被害が多発しています。

 

特に、匿名でアカウントを作れるSNSではあまり深く考えずに悪口を投稿してしまったり、他の多数の加害者につられて集団心理で誹謗中傷をしてしまったりと被害が加速してしまいやすい傾向にあります。

 

また、多数のリツイートをされて拡散され、自分の投稿が炎上トラブルになることもあります。

 

不特定多数の人に見られているという意識を持って他の人が不快になる可能性のある投稿は避けることがトラブル防止につながります。

 

掲示板

掲示板とは匿名で書き込みを投稿できるサイトのことを言います代表的なものとしては、

・2ちゃんねる

・5ちゃんねる

・爆サイ

などが挙げられます。

 

掲示板への書き込みは匿名かつ登録もしなくてもできるので、誹謗中傷が起こりやすい代表格と言えるでしょう。

 

自分が掲示板を利用していなくても、芸能活動をしている方が勝手に書き込みをされていたり、企業名が出されて誹謗中傷をされていたりすることもあるので、もしご自身や自分の会社の誹謗中傷が書き込まれていたら、掲示板の管理人に削除依頼をするなどの対策を早めに取っていくことが大切です。

 

口コミサイト

口コミサイトも誹謗中傷が起こりやすいサイトです。

 

誹謗中傷被害が起こりやすいものとしては

・転職会議

・Booking.com

・食べログ

・じゃらんnet

・Googleマップ

などです。

 

商品やサービスを利用する前に口コミを確認してから購入するかどうか決めているユーザーはかなり多いため、口コミサイトに誹謗中傷を書かれると売り上げに大きな影響を与えてしまいます。

 

また、転職会議の口コミサイトに誹謗中傷を書かれると採用活動だけでなく取引先との関係にも悪影響を及ぼすため、誹謗中傷の投稿を見つけたらできるだけ早く対処していくことが大切です。

 

なお、口コミサイトや転職サイトに誹謗中傷を書き込んでいる犯人がライバル会社の関係者である可能性も高いため、SNS調査に強い探偵に調査を依頼し、IPアドレスから犯人を特定し、損害賠償請求をするなどの強めの措置を取っていくことが根本的な解決につながるでしょう。

 

悪意のある口コミに関しては削除要請をして投稿を消してもらったとしてもすぐにまた繰り返される可能性が高いため、犯人を特定してしっかりと措置を取っていく必要があるのです。

 

ブログ

個人で運営しているブログも誹謗中傷が起こりやすいサイトと言えます。

 

代表的なブログサービスにはFC2ブログ、Amebaブログなどがあり、これらは誰でも無料でブログを開設することができるため、気軽に情報を発信することができるというメリットの反面、中には特定の個人や企業、サービスを誹謗中傷する投稿をするユーザーも存在します。

 

また、ブログサービスによっては記事にコメントを投稿できるようになっていますが、このコメント欄は不特定多数のユーザーが利用できるため、誹謗中傷の内容が炎上のようになって被害が大きくなることもあります。

 

ブログサービスで誹謗中傷を受けた場合は、すぐにブログの運営者に削除依頼をするのが得策です。もし、削除に応じてもらえない場合は弁護士に相談し、弁護士から削除要請をしてもらうとすんなり応じてもらえるケースも少なくありません。

 

LINEでの誹謗中傷を名誉毀損で訴えることはできる?

誹謗中傷が起こりやすい注意すべきサイトについて先ほどの章で見てきましたが、ここではLINEでの誹謗中傷被害にフォーカスを当て、名誉棄損で訴えることができるのかどうか、ケースごとに見ていきましょう。

 

誹謗中傷を名誉毀損で訴えるための条件

まずは、誹謗中傷が名誉毀損に当たるかどうかの条件から確認していきましょう。

 

名誉毀損が成立するには以下の3つの条件全てに当てはまっている必要があります。

 

・公然の場である

・事実を摘示している

・相手の名誉を毀損している

 

「公然の場である」とは、不特定多数が知る可能性がある状態のことを言います。

 

また、「事実を摘示している」とは、何らかの事柄を事実として周囲に伝えることを言います。そのため必ずしも真実であるとは限りません。たとえ嘘の内容であってもあたかも事実のように伝えた場合は名誉毀損として成立します。

 

3つ目の「名誉を毀損」についてですが、名誉には、自分自身の名誉と社会的名誉などいくつかの種類がありますが、訴える際に法的な対象となるのは、社会的名誉の毀損です。個人や企業が社会から受ける評価に悪影響を与えたと判断された場合は名誉棄損の訴えが認められます。

 

個人LINEで誹謗中傷を受けた場合

ではそれぞれのケース別に見ていきます。まずは個人LINEで誹謗中傷を受けた場合はどうなのでしょうか。

 

個別のLINEのトークルームで、「結婚して子供もいるのに社内不倫なんてしてゲスだ」「もともとブスだったから整形しているんだろう」などと不名誉なことを言われたり、名誉を傷つけられたと感じたりした場合などはどうでしょう。

 

これらの場合は、3つの条件のうち2つ目の事実の摘示には当てはまっていますが、その他の2つの成立要件については当てはまっていません。

 

11の個人間でのLINEのやり取りなので、公然ではありませんし、事実かどうかに関わらず社内不倫していると言われたり整形していると言われたりしてショックを受け傷つけられたとは思いますが、社会的な信用が落ちたとまでは言えません。

 

そのため、個人LINEでの発言を名誉毀損で訴えることはできないのです。

 

グループLINEで誹謗中傷を受けた場合

LINEにはグループLINEという複数のアカウントでメッセージのやり取りができる機能がありますが、自分の知らないところでグループLINEが作られていて、そこで誹謗中傷されていたという被害も多く報告されています。

 

よくある事例としては、ママ友同士で連絡を取り合うために作っているグループLINEがあり、普段そのグループLINEで情報交換をしていたのに、グループ内のママ友とちょっとした事でトラブルになったのをきっかけにグループLINEにメッセージがあまり届かなくなるケースです。突然メッセージが届かなくなったので不思議になって周りに聞いてみると新しく自分を除いた人だけでグループLINEを作られているという事実を知るのです。

 

自分だけが除かれたグループLINEは悪口や誹謗中傷であふれていることが多く、それを知ってしまうと名誉棄損で訴えたくなるのも無理はありません。

 

しかし、グループLINEでの誹謗中傷も名誉毀損に当たらない可能性が高いです。

 

悪口や誹謗中傷の内容が事実の摘示には該当していますが、「公然と」に当たらない可能性が高いのです。「公然」の定義は不特定多数の人物に対してという意味なので、グループLINEに参加している人数はせいぜい10人か20人程度だと思われますので、不特定多数と認められるかどうかがきわどくなってしまいます。

 

また、相手の名誉を毀損して社会的信用を落としているかどうかについても、グループLINEでの誹謗中傷によって仕事が減少して収入が減ったり、家庭内に知られて離婚にまで追い込まれたりしない限り、社会的信用にダメージを与えているとまでは言えず、名誉毀損と認められない可能性が高いです。

 

LINEで受けた誹謗中傷が名誉棄損に当たるケースとは

個人間でのLINEの誹謗中傷もグループLINEでの誹謗中傷も名誉毀損に当たらないのであれば、逆に、LINEでの誹謗中傷や悪口が名誉毀損になってしまうものにはどのようなケースがあるのでしょうか?

 

名誉毀損と認められる可能性があるのは、グループLINEに参加している人数が30人以上などかなりの人が参加している場での誹謗中傷である場合や、誰でもグループに参加して自由に発言できるタイプのものでの発言だと、「公然と」に当てはまる可能性が高くなるので、名誉毀損に当たるでしょう。

 

また、LINE内での誹謗中傷の内容をスクリーンショットを撮ってそれをTwitterなどのSNSで発信した場合は公然での発言と認められますので、誹謗中傷の内容によって相手の社会的な信用を落としたと判断されれば名誉毀損に当たります。

 

Twitterで発言すれば、場合によって他の人がリツイートしてツイートを拡散し、炎上トラブルになる可能性もありますので、さらに訴えが認められる可能性が高くなります。

 

名誉棄損で訴えられない場合の解決方法

名誉棄損で刑事罰として訴えられない場合は、損害賠償請求をして民事事件として訴えることは可能です。

 

ただ、その場合も客観的に認められる被害の証拠や犯人の特定が必要になりますので、嫌がらせ調査に精通している調査会社に依頼して証拠を取ってもらいましょう。損害賠償請求をする際は弁護士に依頼して手続きしてもらうのが安心です。

 

しかし、法的な措置を取るとなると労力も必要になってしまいますし、最初にかかるお金も必要になるので、LINEの誹謗中傷によって収入が減ってしまったり、会社の売り上げが下がってしまったりなど実際に金銭的な被害を受けていない場合は、誹謗中傷の発言を無視する、グループから脱退するなどの方法でご自身の精神を守っていく対処法が現実的かもしれません。

 

LINEで誹謗中傷を受けた時に警察以外に相談できる専門家とは

LINEで誹謗中傷を受けたとしても名誉毀損として認められる可能性は低いため、警察以外の相談先も知っておいたほうがいいでしょう。

 

警察以外でも誹謗中傷を受けた場合に対応してくれる専門家はいますので、この章で適切な相談先をご紹介していきます。

 

法務省

法務省に相談というと仰々しく感じてしまうかもしれませんが、法務省に相談することで、誹謗中傷の被害への対処法について的確なアドバイスがもらえます。

 

人権問題に知見のある職員が相談者の悩みに寄り添ってくれますし、LINE上でも相談できますので、まずは気軽に利用してみるといいでしょう。

 

関連サイト:法務省|SNS(LINE)による人権相談

 

弁護士

弁護士に相談することで、法的根拠に基づいた問題の根本的な解決が期待できます。損害賠償請求をする場合などは弁護士への相談は必須と考えたほうがいいでしょう。

 

なお、弁護士に相談して損害賠償請求をする場合、誹謗中傷を行った犯人の特定や誹謗中傷をSNSで拡散させた犯人の特定、被害状況の証拠は必要になります。

 

SNS調査に強い探偵

誹謗中傷を行った犯人の特定や被害状況の証拠は素人ではなかなか集めるのが難しいです。そんなときに頼りになるのがSNS調査や嫌がらせ調査に強い探偵です。

 

法的にも認められる客観的な証拠を押さえてくれますので、損害賠償請求を行う際もスムーズに進みます。

 

また、問題への対応を迅速に行って誹謗中傷の内容の拡散を防いだり、再発防止策を実施したりといったいろいろな対応を取ってもらえますので、ぜひ相談してみるといいでしょう。

 

まとめ

LINEで誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損として刑事罰で訴えるのはなかなか難しいのが実情です。その代わり、民事で訴えていったり、犯人を特定して謝罪をさせたりということは可能ですので、ぜひ今回ご紹介した専門家に気軽に相談してみるといいでしょう。

 

誹謗中傷や悪口を受け続けると精神的にも参ってしまいますので、一人で抱え込まず、気軽に相談して解決していくようにしてくださいね。